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広津 和郎ひろつ かずお

県立神奈川近代文学館所蔵(外部サイト)

プロフィール

生年月日明治24年12月5日(1891年)
没年昭和43年9月21日(1968年)
職業等小説家・評論家
出身東京都生まれ
ゆかりの地
  • 明治24年12月~明治33年 牛込矢来町3中の丸52号
  • 明治33年~明治35年 牛込弁天町、早稲田鶴巻町、市谷甲良町
  • 大正12年 神楽町(神楽館)
  • 昭和9年~昭和11年 西大久保

経歴

 牛込矢来町に広津柳浪の2男として誕生し、9歳までを同地で過ごす。生母寿美の死後、父柳浪は約2年間、牛込で頻繁に転居を繰り返し、麻布区へと移っていく。この少年時代における尾崎紅葉、巌谷小波ら硯友社の作家たちとの思い出を、著書『年月のあしおと』などで語っている。また当時の文学体験を「少年時代の読書は巌谷小波のおとぎ話から押川春浪の冒険小説へ移行した。そして中学に入ったころからそれも読まなくなった。小説類にはなんの興味も覚えなかった」と振り返っているが、16歳の頃には父の叱責を恐れて偽名を用いつつ、文芸誌に投書し始めた。早稲田大学英文科卒業後、トルストイ『戦争と平和』の翻訳で、生涯の友となる宇野浩二を得る。晩年に取り組んだ、評論『松川裁判』結実には、この盟友の支援が不可欠であった。
 昭和9年から約2年間を西大久保の借家で過ごしているが、このとき「著述業」では賃貸申込みがままならず、改造社に頼み、「客員」身分を得て手続きをしたという逸話が残っている。
出典:新宿ゆかりの文学者